はじめに
医療従事者は,入院患者の診療を行うにあたり,自らが感染性疾患に曝露する可能性があるばかりでなく,自らが罹患すると他の医療従事者,ならびに患者へ感染を媒介する可能性がある。このような医療従事者間,あるいは,医療従事者と患者間の感染性疾患の伝播を完全に防ぐことは困難である。しかしながら,平時より適切な感染対策を講じておくことが重要である。予防接種は,その有効な対策の1つであり,適切なワクチンを医療従事者,ならびに患者に接種しておくことが重要である。一方で,ある一定の集団に接種をすると接種をしていない集団がワクチンで予防できる病気から守られる,この概念を集団免疫(Herd Immunity)というが,これによって,医療関連感染を減らすことができることも知られている。この章では,特に医療関連感染症の予防の観点から重要なワクチンについて,医療従事者が接種しておくべきワクチン,医療従事者に接種が検討されなくてはいけないワクチン,そして,患者に接種が検討されなくてはいけないワクチンについて述べることとする。
全文記事
感染防止対策の最前線
感染対策とワクチン
掲載誌
Pharma Medica
Vol.29 No.12 51-54,
2011
著者名
齋藤昭彦
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
感染症
診療科目
一般内科
/
小児科
媒体
Pharma Medica
Key Words
ワクチン
/
医療従事者
/
患者
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。