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感染防止対策の最前線

外科手術部位感染対策の新展開

大毛宏喜末田泰二郎

Pharma Medica Vol.29 No.12, 41-44, 2011

はじめに
 手術部位感染率を低下させるための対策は2つに大別される。1つは術野を汚染する菌を減少させる対策であり,手術室環境,抗菌薬,消毒薬などがこれに含まれる。もう1つが宿主の免疫を強化させる,もしくは手術侵襲に伴う免疫の低下を最小限にとどめる対策であり,周術期の栄養,輸液・輸血,体温,血糖などの管理が含まれる。近年得られた知見を中心に,現時点での周術期感染対策の方向性を述べる。

KEY WORDS
●手術部位感染 ●予防抗菌薬 ●消毒

Ⅰ.手術室環境

 手術室環境に存在する細菌は,手術部位感染の原因となり得る。HEPAフィルターは手術室内の菌数の減少に有効である1)。一方laminar flow(層流)換気は,手術室環境にとって好都合ではあるものの,HEPAフィルターと比較すると手術部位感染予防効果は少ない2)。むしろ人の出入りを減らすほうが重要であると考えられる。

Ⅱ.手術用手袋

 手術用手袋が術中に破けた場合と,そうでない場合を比較すると,前者のほうがオッズ比2.0で手術部位感染発症率が高くなる3)。つまり術中の手袋の破損は,術者の皮膚に存在する菌による術野汚染の原因となる。ところが手袋の破損は比較的高頻度に発生し,Hagenらの検討でも31%の症例で発生している4)。二重の手袋着用は,皮膚の細菌による術野汚染に有効である5)。手袋を二重に着用することは,最初手術操作に多少の違和感を覚えるが,慣れの問題に過ぎないと感じている。

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