はじめに  1997年10月に「臓器移植に関する法律」(臓器移植法)が施行され,改正法が施行される2010年7月17日までに86人の脳死ドナーが現れ,69件の心臓移植が行われ,10年生存率は95%であった。しかし,諸家の報告では毎年心臓移植の適応患者は400人前後いるとされており,多くの患者は医師から心臓移植をすれば助かることさえ知らされずに死亡しているのが,わが国の現状である。国内のドナーが少ないため,一縷の望みをかけて海外渡航心臓移植をする人が後を絶たない。そのなかで,国内で事実上心臓移植が受けられない,身体の小さな子どもは3割にすぎず,国内でも心臓移植を受けられる体格の患者が7割に達していた。