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臓器移植をめぐる最近の話題;臓器移植法改正後の展開

心臓移植における諸問題

福嶌教偉

Pharma Medica Vol.29 No.11, 43-46, 2011

はじめに
 1997年10月に「臓器移植に関する法律」(臓器移植法)が施行され,改正法が施行される2010年7月17日までに86人の脳死ドナーが現れ,69件の心臓移植が行われ,10年生存率は95%であった。しかし,諸家の報告では毎年心臓移植の適応患者は400人前後いるとされており,多くの患者は医師から心臓移植をすれば助かることさえ知らされずに死亡しているのが,わが国の現状である。国内のドナーが少ないため,一縷の望みをかけて海外渡航心臓移植をする人が後を絶たない。そのなかで,国内で事実上心臓移植が受けられない,身体の小さな子どもは3割にすぎず,国内でも心臓移植を受けられる体格の患者が7割に達していた。

KEY WORDS
●改正臓器移植法 ●心臓移植 ●左心補助人工心臓 ●心筋症 ●小児からの臓器提供

はじめに(続き)

 海外渡航移植を報道が取り上げる際に,渡航の大変さや多額の費用のことばかり取り上げる。しかし,一番大事なことは日本人が移植を受けることにより,その国の人が1人移植を受けられなくなっていることである。また,欧米の人であっても,脳死で家族を失うことは非常に悲しく,その状況で臓器提供することは簡単なことではないとを,日本人は理解しなければならない。
 このような現状を受け,また「自国人の移植は自国内で」というイスタンブール宣言を受けて,昨年の7月に臓器移植法が改正された。本年1月17日から親族への優先提供が施行され,7月17日には残りの法が施行された。このことにより,本人の意思が不明な場合には,家族の書面による承諾で脳死臓器提供ができるようになるため,脳死臓器提供数は約5倍に増加し,長らく閉ざされていた,小児の心臓移植への門戸が2011年4月に開かれた。

Ⅰ.臓器移植法改正後の体制

1.心臓移植実施施設

 法改正後の心臓移植の増加に対応できるように,心臓移植施設が6施設(国立循環器病研究センター,大阪大学,東京女子医科大学,東京大学,東北大学,九州大学)に埼玉医科大学国際医療センター,岡山大学,北海道大学が加わり,9施設になった。
 小児については特別な体制整備が必要であることから,国立循環器病研究センター,大阪大学,東京大学の3施設が小児心臓移植施設に認定された。当初は15歳未満の小児の施設として認定されたが,成人から移植可能な11歳以上の小児については他の6施設でも心臓移植してもよいことに,2010年12月に変更された。

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