全文記事
スポーツ障害をめぐって
熱中症 病態と予防
掲載誌
Pharma Medica
Vol.27 No.9 21-24,
2009
著者名
勝川 史憲
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
腎臓
/
神経疾患
診療科目
一般内科
/
腎臓内科
/
老年科
/
手術・救急
/
小児科
媒体
Pharma Medica
「はじめに」熱中症とは, 暑熱環境下で発生する障害の総称である. スポーツ活動においては, 高温・多湿の環境下で, 高強度または長時間の運動に伴い発生することが多く, 個体の暑執耐性も影響する. 本稿では, 運動に伴う熱中症の病態と予防法について概説する. 「I. 熱中症の病態」運動筋の収縮によって発生する熱は, 皮膚の血流増加による熱放散と, 発汗に伴う気化熱で体外へ排出される. しかし, 高温・多湿や風通しの悪い環境下では, 熱放散や気化熱による熱の排出効率は低下し, 高強度の運動で, 排出を上回る大量の体熱が発生すると, 体温が上昇する. さらに, 長時間の運動で, 発汗により体内の水分が失われて脱水状態になると, こうした体温調節の機能はうまく作用しなくなり, 熱中症のリスクが増加する. 体重の3~5%の脱水では, 皮膚の血流や発汗量が減少して熱の排出が低下しはじめ, 6~10%の脱水では, 骨格筋の血流や心拍出量も減少し, 体内深部からの熱の排出が障害される.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。