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血栓症治療の最新動向
ヘパリンとヘパリノイド
掲載誌
Pharma Medica
Vol.27 No.1 49-53,
2009
著者名
金子誠
/
矢冨 裕
記事体裁
特集
/
全文記事
疾患領域
循環器
/
脳血管障害
診療科目
一般内科
/
循環器内科
/
心臓血管外科
/
脳神経外科
/
神経内科
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血液内科
/
老年科
媒体
Pharma Medica
「はじめに」ヘパリンは, 血栓止血学のなかで最も古い生物学的薬剤のうちの1つで, 1916年に発見されて以後, 現在でも最も汎用されている抗凝固薬である. 通常, これらの薬剤は出血性副作用がしばしば問題となり, その投薬管理には十分な注意が必要となる. このような観点から, より出血の危険性が少ない安全性の高いもの, なおかつ有効性の高い抗血栓薬の開発が行われてきた. これらの経緯から低分子ヘパリン, ヘパリノイド, ペンタサッカライドなどが生み出され(表)1), 現在臨床にて使用可能となっている. 本稿では, これらヘパリンに類似の薬理作用を示すヘパリン類やヘパリン構造を基本骨格とする合成ヘパリンについて概説する. 「I. 凝固反応と抗凝固」抗血栓薬の標的となる凝固反応(図1)2)は, 血小板とともに止血血栓形成に重要な役割を果たしている. 凝固反応は, 血管傷害部位や活性化された単球上に発現した組織因子(tissue factor;TF)と循環中の活性型血液凝固第VII因子(VIIa)の結合した複合体が引き金となる.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。