― 北信地域で2009年より運営されている心不全地域連携パスについて教えてください。

北信地域は長野県の最北端に位置し,2000年代半ばで高齢化と過疎化が進んでいきました。当時,循環器疾患の急性期専門診療が可能な基幹病院は私が勤務していた北信総合病院のみで,地域の医療資源や介護・福祉サービスが乏しく,高齢心不全症例の増加に対応しきれない状態でした。そこで心不全患者をかかりつけ医と連携して診療するために,2009年より心不全の循環型地域連携パスの運用を開始しました。

日常診療はかかりつけ医が担当し,平時は基幹病院が6ヵ月ごとに診察・検査,治療状況や生活面の評価などを行い,相互に連携パスシートで診療情報を交換します。悪化時や急変時には基幹病院を受診できるため,心不全地域連携パスは病院・かかりつけ医・患者にとってメリットがあります。このモデルを虚血性心疾患にも応用し,現在も「北信州心臓血管病地域連携パス」として運用されています1)