透析アミロイドーシス(Aβ2Mアミロイドーシス,dialysis-related amyloidosis;DRA)は,長期透析療法を受ける患者においてβ2ミクログロブリン(β2MG)の血中蓄積が原因となり,骨関節および軟部組織に不溶性のアミロイド線維が沈着する疾患である。DRAは,手根管症候群(carpal tunnel syndrome;CTS)や多発関節痛,破壊性脊椎関節症などの運動器症状を引き起こし,患者の生活の質(QOL)を著しく低下させる。欧米では透析技術の進展により新規発症率が低下しているとの報告がある一方,日本では透析患者数や高齢化の影響から累積有病率が高い現状にある。このようななかで,2024年に日本アミロイドーシス学会では『アミロイドーシス診療ガイドライン2025』を発刊した。本稿では,欧米と日本の疫学データを対比しながら,日本におけるDRAの現状と診断法,さらには今後の課題について概説する。