認知症では,認知機能の低下に加えて,「behavioral and psychological symptoms of dementia(認知症の行動・心理症状)」と呼ばれる症状が出現することがあります。幻覚・妄想,不安・抑うつなどの心理症状や,攻撃性,焦燥,徘徊などの行動症状の総称です。BPSDへの対応は認知症診療において,患者やその周囲の家族・介護者のquality of life(QOL)に大きく影響するものであり,大きな課題となっています。2025年6月に,このBPSDに関する診療ガイドラインである「かかりつけ医・認知症サポート医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン(第3版)(以下,ガイドライン第3版)」1)が発表されました。そこで今回の座談会では,本ガイドライン第3版の作成に携わった先生方に改訂のポイントやBPSDに関する課題,ガイドライン第3版の臨床応用などについてご討議いただきました。