超高齢社会の進展とともに,加齢が最大の発症リスクである認知症患者数はその増加スピードは鈍っているものの,増加傾向にあることは間違いない。認知症の原因疾患はいくつかの病型に分かれるものの,いずれも神経細胞が変性し細胞数が減少することで発症する。一度発症した後の治療の困難さは,本邦でも相次いで上市されたアルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)を対象とした抗アミロイドβ(amyloid β:Aβ)抗体の治験データ1)2)などからも明らかである。このような状況を踏まえ,抗Aβ抗体を前臨床期,すなわち症状の出現はないものの脳内病理変化が開始されている時期に投与する治験が開始されている3)。これは神経疾患の薬物療法においては,発症前の介入(先制医療),すなわち症状発症を未然に抑え脳を保護することを目的とした予防的投与そのものであるが,そこには抗体薬治療において必ず問題となるアミロイド関連画像異常(amyloid-related imaging abnormalities:ARIA)の発症リスクがあることから,認知症への対策として生活習慣を含めた総合的な予防介入の重要性が強調されるに至った。

本稿では,筆者らが実施した認知症の予防に関するエビデンス構築を目指したJ-MINT PRIME Tamba研究についてその概要を解説するとともに,この結果を実装するための取り組みと課題,について論じたい。