Expert Lecture エキスパートに訊く筋ジストロフィー診療のポイント
Q1:心筋障害は,いつからどのように治療しますか?
掲載誌
MD Frontier
Vol.2 No.2 27-29,
2022
著者名
田村 拓久
記事体裁
連載
/
抄録
/
Q&Aシリーズ
疾患領域
神経疾患
/
小児疾患
診療科目
神経内科
/
小児科
媒体
MD Frontier
筋ジストロフィーの4割以上の病型に心不全が合併するといわれている.なかでもデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)は心不全を合併する頻度が高いため,その診断と薬物治療について概説する.
DMDの心不全の原因である心筋リモデリングは,ジストロフィンの欠損と膜関連蛋白の減少により心筋細胞膜の不安定化が生じ,心筋細胞の変性,壊死をきたし,炎症細胞の浸潤や組織の線維化によって形成されると考えられている.これらの細胞外マトリックスを含む心筋の障害が進行して,臨床的に確認できる心不全状態に至る.DMDの心不全は拡張型心筋症の心不全に類似し,二次性心筋症(特定心筋症)に分類されている.
心不全治療にアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬やβ遮断薬が使用されていない時代のDMD心筋症の発生頻度を調べた報告によると,心臓超音波検査で左室拡大および左室駆出率(LVEF)が45%以下の心筋症は10歳から認められ,18歳以上では7割以上に出現していた1).一方この心筋症を認めなかった10歳までの症例でも,心電図異常は6歳までに26%,6~10歳の症例で61.5%に存在した.このようにDMD心筋症は若年より発生する頻度が高いため,心不全発症前の病態把握と治療開始の判断が極めて重要である.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。