Clinical Report 筋ジストロフィー症例報告
DMDのエクソン53スキッピング治療における取り組み
掲載誌
MD Frontier
Vol.1 No.3 22-25,
2021
著者名
竹下 絵里
記事体裁
連載
/
抄録
/
症例
疾患領域
神経疾患
/
小児疾患
診療科目
神経内科
/
小児科
媒体
MD Frontier
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)の60〜70%は,ジストロフィン遺伝子のエクソン欠失によりアミノ酸の読み枠がずれるアウトオブフレーム変異が原因で生じる¹⁾ ⁻³⁾.エクソンスキッピング療法は配列特異的に設計したアンチセンス核酸を用いて人為的にスプライシングを調整し,特定のエクソンをスキップする治療法である.2015年のTREAT-NMDによるDMD患者7,149名のデータでは,エクソンスキッピング療法は全対象の55%(エクソン欠失例の80%)に有効な可能性があるとされている.ジストロフィン遺伝子のエクソン欠失はエクソン45-55領域に好発し,DMD患者のなかでエクソン51スキッピング対象が14%,エクソン53スキッピング対象が10%,エクソン45スキッピング対象が9%,エクソン44スキッピング対象が7%程度とされる⁴⁾.
ビルトラルセンは,ジストロフィン遺伝子のエクソン53スキッピング作用があり,エクソン52欠失およびエクソン45-52欠失などの遺伝子型をもつDMD患者に投与することで,ジストロフィン蛋白発現を修復する治療薬である.2013年6月から医師主導治験(国内第Ⅰ相試験)(UMIN:000010964,ClinicalTrials.gov:NCT02081625)を開始し,2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定された.続いて,2016年4月からの国内第Ⅰ/Ⅱ相試験(NIPH Clinical Trials Serch:Japic CTI-163291),同年12月からの米国とカナダでの海外第Ⅱ相試験(ClinicalTrials.gov:NCT02740972)を経て,安全性,有効性の検証を行ってきた.日本では,厚生労働省より2019年8月に希少疾病用医薬品の指定,同年10月に医薬品の条件付き早期承認制度の適用,2020年3月に製造販売承認を受け,同年5月に発売に至った⁵⁾ ⁻⁷⁾.以下では,当院でのDMDのエクソン53スキッピング治療での取り組みについて紹介する.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。