History 筋ジストロフィー医療発展の歴史
              
 筋ジストロフィーの治療研究の歴史(1)
                  掲載誌
                
 
                  MD Frontier
                  Vol.1 No.1 52-55,
                  
                    2021
                  
 
                    著者名
                  
  
                          武田 伸一
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                          鈴木 友子
                        
 
                    記事体裁
                  
  
                          抄録
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                          連載
                        
 
                    疾患領域
                  
  
                          神経疾患
                        / 
                          小児疾患
                        
                    診療科目
                  
  
                          神経内科
                        / 
                          小児科
                        
 
                    媒体
                  
 
                      MD Frontier
                    
 1987年,Kunkel博士らによってデュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)の原因遺伝子(DMD遺伝子)が突き止められ,その遺伝子産物はジストロフィンと名付けられた¹⁾.翌年には荒畑らによってジストロフィンが筋形質膜直下に発現していることが報告された²⁾.以来,多くの治療研究が行われてきた.アンチセンス核酸(ASO)を用いたエクソンスキッピング療法は,神戸の松尾らがエクソン19内にあるスプライシングに必要な配列が欠けているために,エクソン19全体がmRNAから除かれている患者を報告³⁾したのが始まりである.松尾らはスプライシングに重要なシスエレメントを相補的なASOでマスクすれば,スプライシングパターンを変え,アミノ酸の読み枠のずれを修正することができることに思い至ったわけである⁴⁾.当初はその効率は低かったが,その後,全身投与が可能なモルフォリーノ核酸などが用いられるようになり,2020年11月の時点で3つのスキッピング薬がすでに米国や日本で条件付き承認を受けている.本稿では他にもアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターにマイクロジストロフィン遺伝子を搭載した遺伝子治療,CRISPR/Cas9を用いたDMD遺伝子のゲノム編集,筋幹細胞移植治療法の歴史的側面を概説する.
          ※記事の内容は雑誌掲載時のものです。