近年,がんの播種・転移は比較的早期がんの段階で起きることが明らかとなりつつある。この早期播種の詳細を明らかとするために,我々は遺伝子改変マウスモデルを用いて膵がん細胞の転移時期とその去就について研究を行ってきた。その結果,膵がんにおいては良性腫瘍細胞(pancreatic intraepithelial neoplasm:PanIN)の段階で全身播種が起こることが明らかとなった。驚くべきことに,他臓器に転移したPanIN細胞は宿主臓器で分化転化を起こして傍目には認識できない状態となり,またPanIN細胞は転移した後に悪性化して転移巣を形成することが示唆された。当研究グループでは,この特殊な転移形式を「隠れ転移(stealth metastasis)」と名付け,臨床診療に応用すべく現在も誠意研究中である。
期待される最新研究
PanINの早期播種(early dissemination)と隠れ転移(stealth metastasis)
掲載誌
胆膵 Oncology Forum
Vol.2 No.2 33-37,
2022
著者名
山口 淳平
/
國料 俊男
/
江畑 智希
記事体裁
抄録
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連載
疾患領域
消化器
/
癌
診療科目
消化器外科
/
腫瘍内科
/
消化器内科
媒体
胆膵 Oncology Forum
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。