近年,多くの臨床研究により第2世代新規抗アンドロゲン薬の早期での使用(upfront治療)が転移性ホルモン感受性前立腺癌(mHSPC)に有効であることが示され,2018年2月にアビラテロンの,2020年5月にアパルタミドとエンザルタミドの使用が承認された。これらの薬剤は従来のアンドロゲン除去療法(ADT)単独と比べ,有意に非去勢抵抗性生存率(CRPC-free survival)や全生存率(OS)を改善し,リアルワールドデータでもハイリスク群に対するアビラテロンの有効性が示されつつある。しかし,mHSPCに対して複数の薬剤(アビラテロン,アパルタミド,エンザルタミド)が類似した適応で承認となったため,どの薬剤をどの患者に使うかは臨床現場で決める必要があるが,各薬剤の有効性については直接比較のデータがなく,ネットワークメタ解析でも類似した結果が示されているため優劣の判定は難しいのが現状である。そのため,副作用プロファイルで薬剤選択を考える必要がある。副作用を考えるうえで,アパルタミドの皮疹は看過できない課題である。アパルタミドはTITAN試験1)において27.1%の皮疹が報告されているが,日本人集団では約50%と特に高いことが報告された2)3)。実臨床でも多くの皮疹を経験していたことから,当研究ではリアルワールドの皮疹の発症頻度とそのリスク因子を検討することを目的とした4)