近年,前立腺癌に対する薬物療法の進歩は著しく,治療選択肢は多く存在する一方,その作用機序は大きく分けるとホルモン療法と抗癌剤であり,残念ながらその逐次治療には限界を感じざるをえなかった。そのような背景のなか,癌遺伝子パネル検査が日常診療で行われるようになるのと時を同じくしてPARP阻害薬であるオラパリブがわが国でも保険承認され,いよいよ前立腺癌においても個別化医療が行われる時代となった。オラパリブが保険承認され1年が経過するが,いまだ遺伝子検査のタイミングやオラパリブ投与のタイミングには議論の余地がある。本稿では,PARP阻害薬のエビデンスや日常診療での問題点,さらには将来展望にも触れる。皆様の日常診療にお役立ていただければ幸甚である。
「KEY WORDS」PARP阻害薬,オラパリブ,去勢抵抗性前立腺癌,BRCA,個別化医療
「KEY WORDS」PARP阻害薬,オラパリブ,去勢抵抗性前立腺癌,BRCA,個別化医療