腸管出血性大腸菌(Enterohemorrhagic Escherichia coli:EHEC)感染症・食中毒は,ベロ(志賀)毒素(Vero[Shiga]-toxin:VT[Stx])産生性の大腸菌によって惹起される疾病で,潜伏期間は平均2~5日,症状は激しい腹痛(疼痛)と下痢,血便を呈することで知られている.特に,HUS(溶血性尿毒症症候群)や脳炎を発症した場合には,死に至るリスクもある.本菌の特徴のひとつは,その感染菌量(感染が成立する菌数)1)が数百(10²オーダー)個と非常に少ない一方,無症状病原体保有者2)も認められることである.
本稿では,腸管出血性大腸菌の発見後の35年間の経過,そしてわが国での現状と課題について,発生状況を中心にまとめてみたい.
本稿では,腸管出血性大腸菌の発見後の35年間の経過,そしてわが国での現状と課題について,発生状況を中心にまとめてみたい.