HPPにおける各科との連携
北陸地域におけるHPP診療体制
─金沢大学附属病院を中心に─
掲載誌
HPP Frontier
No.3 30-32,
2020
著者名
渡邉 淳
記事体裁
抄録
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連載
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施設紹介
疾患領域
代謝・内分泌
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腎臓
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消化器
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骨・関節
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小児疾患
診療科目
整形外科
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小児科
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腎臓内科
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糖尿病・代謝・内分泌科
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消化器内科
媒体
HPP Frontier
私ごとではありますが,まず自己紹介をさせてください.2018年9月までは,東京にある日本医科大学付属病院遺伝診療科に15年ほど所属しており,遺伝診療外来の立ち上げから,遺伝子研究まで幅広くかかわってきました.遺伝子研究では,折茂英生日本医科大学名誉教授が日本第一例の遺伝子解析を行ったことに始まった遺伝子解析研究とともに,島田 隆日本医科大学名誉教授,岡田尚巳教授(現:東京大学医科学研究所遺伝子・細胞治療センター)による遺伝子治療研究が行われていました.私自身,基礎医学専属で遺伝診療科は兼務する立場として,基礎医学の成果を臨床に還元する(トランスレーショナル),臨床の課題を基礎医学(リバーストランスレーショナル)に,道筋への橋渡しを行い,低ホスファターゼ症(hypophosphatasia:HPP)の啓発にもかかわってきました¹⁾ ²⁾.2018年10月より新設された金沢大学附属病院遺伝診療部に,臨床部門専任として赴任しました.「北陸」地域をご存じでしょうか? 北陸は,東海とともに東海北陸として地域を扱われることも多いですが,富山県,石川県,福井県の3県からなり,307万人(2010年国勢調査)で構成されます.金沢市は,東京,名古屋,大阪が300km圏内にあり,2015年3月14日に北陸新幹線が開通し,それぞれの都市から約2時間30分でつながっています.石川県には能登半島があり,東西約100km,南北約200kmと南北に細長い形状をしています.
東京から北陸への異動により,地域での医療を考える機会になりました.北陸地域の遺伝医療はまだ道半ばです.金沢大学も含め大学病院の遺伝医療施設の北陸地域の半数は2018年に開設されました.北陸地域でHPPは,まだ診断されていない地域もあります.まだ,周知・啓発が届いていないことは今後の大きな課題です.しかし,第122回日本小児科学会学術集会(会長:谷内江昭宏先生)が2019年4月に開催され,第6回日本産科婦人科遺伝診療学会(会長:藤原 浩先生)が2020年12月に開催を予定し,遺伝医療の幅が広がってきています.
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。