近年,メソセラピーは美容医療の領域で再び注目を集め,主流の治療選択肢の1つになりつつある.筆者自身,約18年前にパリの学会中のセミナーで知見をさらに深め,多くの治療に組み入れている.メソセラピーが注目される背景には,いくつかの要因がある.
第一に,患者のニーズの変化である.従来の外科的治療やフィラー注入に比べ,メソセラピーは低侵襲でダウンタイムが短く,自然な変化を求める患者の希望に合致する.ランチタイムセラピーともいわれている.また,年齢を問わず「予防的に肌質を整える」ニーズが高まりつつあり,定期的にくり返し行える点も支持されている.
第二に,技術の進化である.従来の手打ち注入に加え,メソガン,水光注射機器,ジェットインジェクター(ミラジェット®,キュアジェット®)といったディバイスの発展により,薬剤の均一導入と安全性の向上が実現した.
第三に,ソリューション(液剤)の多様化である.単なるビタミンやトラネキサム酸導入から,メソカクテル製剤が発売され,さらに近年はポリマー系製剤(ポリ-DL-乳酸〔PDLLA〕,ポリ-L-乳酸〔PLLA〕など),ポリヌクレオチド(polynucleotide;PN)製剤,細胞外マトリックス(extracellular matrix;ECM)製剤,非架橋ヒアルロン酸製剤といった「組織リモデリングをもたらす製剤」が登場し,より確実な効果を低侵襲で得られるようになった.