尋常性痤瘡の初発疹は,皮脂の分泌亢進と毛包漏斗部の閉塞で生じる面皰である.臨床症状としての面皰の前には,病理学的に毛包内に皮脂が貯留する微小面皰が先行していることが知られている.面皰内のCutibacterium acnesの増菌などによる炎症を伴うと,紅色丘疹や膿疱へと進展する.強い炎症を生じた場合には囊腫や結節を形成する.炎症後に一部の皮疹は瘢痕を残して治癒する.
最近の研究では,病理学的な変化である微小面皰でも炎症を伴うことが知られており,面皰を経ずに炎症性皮疹(丘疹や膿疱など)や瘢痕に進展することが示されている(図1)1).また,複数回答可の条件のもと治療に期待することについて痤瘡患者を対象にアンケート調査をすると,治療効果が早いこと(56.0%),再発しないこと(47.8%),赤にきびを減らせること(43.3%)に次いで,痤瘡瘢痕が残らないこと(42.5%)となっていた2).
瘢痕を回避したいという患者に寄り添うためには,痤瘡瘢痕の種類とその成り立ちや予防,予後,治療について正確な知識をもつことが重要となる.本稿では瘢痕の種類について述べる.