「漢方」は東アジアの伝統医学で「中国から伝来した医術」という意味であり,中国の伝統医学を基礎に曲直瀬道三,華岡青洲らによって日本独自の発展を遂げてきた1).1976年には42処方,60品目の漢方製剤が健康保険に薬価基準収載され,現在全国82の医科大学および大学医学部すべてにおいて漢方教育が行われている1).
中国や韓国では,伝統医学(中医学/韓医学)と現代医学のダブルライセンス制をとっているが,日本では,1つの医師免許で現代医学も漢方も自由に使用することができ,これは世界でも日本唯一の特徴である1).1つの医師免許で現代医学だけでなく漢方も使用できるので,日本では80%以上の医師が漢方を処方しており治療の選択肢を広げることができる1).
漢方は保険適用もあり,各種ガイドラインにも漢方について記載され,西洋医学と東洋医学のハイブリッドの新たな臨床応用がなされている.