皮膚は表皮,真皮,皮下組織の3層で形成されており,その最も外層である表皮は角化細胞(ケラチノサイト)で構成されている.組織学的には,角化細胞は基底層,有棘層,顆粒層,角層へと移動しながら分化し,最終的には死細胞として脱落する.この過程は角化(ケラチナイゼーション)と呼ばれている1).
通常,表皮の厚さは増殖と剝離のバランスにより一定に保たれており,これは足底皮膚であっても同様である.しかしながら,機械的な刺激や乾燥,感染症や内分泌疾患,遺伝的疾患などの原因により角化細胞の過増殖,あるいは角層細胞の剝離障害が生じて表皮の角層が有意に厚くなることがある.これは角質増殖と呼ばれる現象で,本稿ではフットケアに携わる者が足底の角質増殖をみたときに想起してもらいたい,比較的頻度が高い皮膚疾患について言及し,その着眼点を順次述べてみたい2).