爪は指趾を守る働きをもつ.その一方でその硬さのため,ときに爪周囲の皮膚を傷つけることもある.爪甲の側縁が皮膚に刺入し,疼痛を生じた状態を陥入爪と呼ぶ.通常,陥入爪は母趾に生じることが多い.強い疼痛のため歩行にも支障をきたし,患者の生活の質を低下させる1-3).全国調査で皮膚科受診患者のうち,0.89%が陥入爪の患者であったとの報告4)もあり,そのため皮膚科医がしばしば遭遇する疾患といえる.