シェーグレン症候群(Sjögrenʼs syndrome:SS)は,主に中年女性に好発する涙腺と唾液腺を含む外分泌腺の障害を特徴とする慢性炎症性の全身性自己免疫疾患である。SSは,他の膠原病を合併しない一次性SS(primary SS:pSS)と,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE),全身性強皮症(systemic sclerosis:SSc),混合性結合組織病(mixed connective tissue disease:MCTD),関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)などの膠原病を合併する二次性SSとに大別される。pSSは,涙腺と唾液腺の乾燥症状のみの腺性SS(約45%),全身臓器病変を認める腺外性SS(約50%),悪性リンパ腫(5%程度)を発症する1)。腺外症状はさまざまで,①発熱,倦怠感,②皮膚病変:多型紅斑,皮膚血管炎,③関節痛(炎),筋炎,④間質性肺炎,⑤腎病変:間質性腎炎,腎尿細管性アシドーシス,⑥神経病変:多発単神経炎,中枢神経病変,⑦慢性甲状腺炎,⑧血球減少,⑨高γグロブリン血症などが知られているが,⑩肺動脈性肺高血圧症(pulmonary arterial hypertension:PAH)は,稀ではあるが生命予後に関わる重要な病態である。