今回は乳房MRIに関する最初の論文(1986年)を紹介する。
1980年代当時,Heywangらは乳腺画像診断の未解決の問題点として,高濃度乳房における早期乳癌の検出,irregular dysplastic tissue, 硬化性腺症,および瘢痕組織と乳癌との鑑別を挙げている。そこで造影MRIを20例のさまざまな乳房病変に用いて,造影剤投与による造影効果と,マンモグラフィ所見とで比較評価が行なわれた。MRは0.35Tの装置が用いられた。結果は乳癌は全例が造影された。Fibrous dysplasiaは造影されず,proliferative dysplasiaでは軽度の造影が認められ(偽陽性),線維腺腫も造影された。このように乳癌は造影MRIで造影されることが示された。Dysplasiaや硬化性腺症など,その形態が乳癌と区別がつきにくい病変の鑑別が造影MRIで改善される可能性が考えられた。