子宮頸癌は日本人女性の罹患する癌としては第11位,婦人科悪性腫瘍内では子宮体癌に続いて2番目に多い¹⁾。罹患年齢が30~40代のAYA(adolescent and young adult)世代とされる若年女性に多く,女性の結婚・出産・就業などライフイベントに大きく影響する(図1)¹⁾。

子宮頸癌の約90%以上でヒトパピローマウイルス(human papilloma virus:HPV)感染が確認されている²⁾。HPVには100種類以上のタイプがあり,子宮頸癌に関与する高リスクタイプは16/18/31/33/35/45/52/58など約15種類で,特に16/18型は子宮頸癌の約70%に関与する³⁾ ⁴⁾。性交渉により感染し,女性が生涯にHPVに感染する割合は約50%とされるが,約90%は自然排出される。しかし,一部は持続感染しHPVのDNAが子宮頸部細胞のDNAに取り込まれることにより,異形成,上皮内癌を経て浸潤癌へと進む⁴⁾ ⁵⁾。原因が明確であるため,予防,検診が確立した珍しい癌である。