臨床研究は介入治療の効果や安全性を的確に評価するために,その対象には年齢や臓器機能などに制限を設けている。臨床研究により得られた結果は選ばれた患者に対する治療効果と言える。
しかし,実地臨床において臨床研究の対象となりにくい高齢者や臓器機能低下例のような“unfit patients”は決して少なくない。このようなハイリスク患者では薬物代謝の低下などにより毒性が強く出現する可能性がある。また,薬物代謝酵素の遺伝子多型が薬物療法の効果や毒性に関連するといった報告もなされている。
薬物療法を効果的かつ安全に行うために,まず臓器機能障害の鑑別診断,原因除去を行ったうえで,患者の特性から治療内容を調整することが重要である。