「はじめに」トラスツズマブ+ペルツズマブ+ドセタキセル(TPD)療法をHER2陽性転移・再発乳癌の1次治療として確立したのは,CLEOPATRA(Clinical Evaluation of Pertuzumab and Trastuzumab)試験である。同試験では,コントロールアームであるトラスツズマブ+ドセタキセル(TD)療法と比較してTPD療法が,無増悪生存期間(PFS,主要評価項目)および全生存期間(OS,副次的評価項目)で有意に優っていた1)2)。同試験の患者選択基準をみると,術前または術後全身療法の終了から<12ヵ月の症例は除外されていた。すなわち,今回のPro/Conで与えられた条件下にある症例(以下本症例)は,CLEOPATRA試験には登録されていなかったことになる(表1)。その観点からは,CLEOPATRA試験で示されたTPD療法のベネフィットを本症例が受けられるとの明確なエビデンスはないと言わざるをえない。しかしながら,今回あえてTPD療法を「行うべき」との立場で吟味してみたい。
今回,細かな症例設定はされていないが,論点を明らかにするために,本症例はホルモン受容体陰性,術後アンスラサイクリンを含む化学療法は行われているがタキサン抵抗性にはなっていない,すなわちタキサンは行われていないか,タキサン終了後6ヵ月以上は経て再発した症例,と考えることとする。
●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・論点整理/南博信
・「行うべき」とする立場から/向原徹
・「行うべきでない」とする立場から/中島裕理/高野利実
今回,細かな症例設定はされていないが,論点を明らかにするために,本症例はホルモン受容体陰性,術後アンスラサイクリンを含む化学療法は行われているがタキサン抵抗性にはなっていない,すなわちタキサンは行われていないか,タキサン終了後6ヵ月以上は経て再発した症例,と考えることとする。
●本企画「誌上ディベート」は,ディベートテーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論です。問題点をクローズアップすることを目的とし,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
・論点整理/南博信
・「行うべき」とする立場から/向原徹
・「行うべきでない」とする立場から/中島裕理/高野利実