Doctor Interview
rTMSの普及を進め,治療の可能性を広げていく
掲載誌
精神科臨床 Legato
Vol.11 No.1 50-53,
2025
著者名
鬼頭 伸輔
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
精神疾患
診療科目
心療内科
/
精神科
媒体
精神科臨床 Legato
1999年に岩手医科大学を卒業し,当時はストレート入局の時代でしたが,私は初期研修先として武蔵病院(現・国立精神・神経医療研究センター病院)を選び,そこで将来を決めるつもりでした。武蔵病院では全国に先駆け,最新のパルス波電気けいれん療法(electroconvulsive therapy:ECT)が導入されており,本橋伸高先生(元・山梨大学医学部精神神経医学講座教授)が執筆された『ECTマニュアル』を手に取る機会がありました。すると最後の章に,「将来的には反復経頭蓋磁気刺激(repetitive transcranial magnetic stimulation:rTMS)が新しい治療法になるかもしれない」と書かれていたのです。
「面白そうだな」と心惹かれるものがありましたが,当時はまだrTMSについての研究は進んでおらず,治療法としての効果も十分には検証されていませんでした。何より精神保健指定医を取得し,一人前の精神科医になるという目標がありましたから,ひとまず一般精神医学,てんかん,認知症,依存症などを学ぶことに専念しました。そして研修を終えると,次はいよいよ大学病院で研鑽を積もうと杏林大学に移り,改めてrTMSの研究に着手することにしたのです。
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。