摂食障害はICD-11における「食行動症または摂食症群」に含まれ,主に神経性やせ症(神経性無食欲症),神経性過食症,むちゃ食い症があります。特に神経性やせ症の患者は全精神疾患のなかで2番目に若いうちの死亡率が高く1),全死因死亡率は一般人口の約5倍にのぼると報告されています2)。これらのことから,精神科臨床において摂食障害の管理アプローチが重要であることは論を俟ちません。
摂食障害患者における死亡率の高さには,重度の栄養不良や低体重,患者自身が治療を受けたがらないこと,身体的合併症などが関与している可能性があります。摂食障害患者では死亡とともに入院,腎障害,骨折,腸閉塞,心血管疾患などの有害転帰が起こるリスクが高いことがわかっていますが,これらの有害転帰がどのような因子によって起こるのかはこれまで明らかになっていませんでした。