令和6年4月,改正精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)が施行された1)。本改正において,精神保健相談の位置付けが明確化されたことは,医療保護入院制度の一部変更や虐待通報に関する仕組み整備などに加え,重要なトピックの1つとして挙げられるだろう。具体的にはまず,相談支援の対象は精神障害を有する者のみならず,精神保健に課題を抱える者も含むということが明文化された。そのため,市町村を実施主体とし,障害の有無にかかわらず,顕在発症閾値未満のメンタルヘルス不調を呈する段階から適切な相談支援を受けられる体制の整備が求められることとなった。地域精神保健の見直しは,「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム(にも包括)」の構築における柱の1つとされ,地域共生社会の実現に向けて大きな役割を果たすことが期待される。