新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患後症状,いわゆる後遺症の病態についてはまだ明らかになっていません。『新型コロナウイルス感染症 診療の手引き』別冊『罹患後症状のマネジメント』では「COVID-19罹患後に,感染性は消失したにもかかわらず,他に明らかな原因がなく,急性期から持続する症状や,あるいは経過の途中から新たに,または再び生じて持続する症状全般をいう」と定義されています1)。一方,世界保健機関(WHO)は2024年6月にLong COVIDを「新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後に発生する感染関連の慢性疾患であり,1つ以上の臓器系に影響を及ぼす継続的,再発・寛解的,または進行性の病状が少なくとも3ヵ月間継続する」と定義しました2)

主な罹患後症状には疲労感・倦怠感,呼吸困難感,思考力や記憶への影響などがあり,睡眠障害や不安,抑うつ,集中力低下,認知機能低下などの精神症状・認知症状も報告されていますが,不安や抑うつが一時的なリスク増加にとどまる一方,急性期以降に生じる認知機能低下や認知症,精神病性障害,てんかんなどのリスク増加は持続することがわかっています3,4)