わが国の自閉スペクトラム症(ASD)の有病率は5歳児において2.75%とされている1)。また,文部科学省の調査では,通常学級に通う小中学生の8.8%に神経発達症(発達障害)の可能性があることが示されている2)。すべての子どもが医療を必要とするわけではないが,児童精神科医の不足は深刻であり,適切な対処がなされずに二次障害を発症したり,成人になって対人関係や仕事で悩みを抱えて精神科を受診したりするケースも多い。本領域でご活躍中の先生方に,児童・思春期の発達障害診療について,現場の取り組みと課題を教えていただいた。