現在,わが国のあるべき姿を目指す政策として,「地域共生社会」実現への取り組みが進められている。地域共生社会とは,制度・分野ごとの縦割りや「支え手」「受け手」という関係を超えて,地域住民や地域の多様な主体が参画し,人と人,人と資源が世代や分野を超えてつながることで,住民一人ひとりの暮らしと生きがい,地域をともに創っていく社会とされている1)

近年,個人や世帯が抱える「生きづらさ」や「困りごと」の複雑化・多様化が指摘されている。例をあげれば,いわゆる8050問題やひきこもり,社会的孤立,児童虐待などの虐待問題,老々介護,ヤングケアラー,子どもの貧困など,枚挙にいとまがない。地域共生社会実現への取り組みでは,このような人々が,いわゆる「制度の狭間」に陥ることのない支援体制をつくることが重要とされている。