1802年にシャトーブリアン(1768~1848年)が発表した『ルネ』1)は,ルネという「生まれのよいヨーロッパ人」でありながら,ミシシッピ川を望む「ルイジアナの荒れ地に身を埋めようとした」若者を主人公とする作品である。
この地でルネは,先住民の風習に従って結婚したものの,妻と一緒に暮らそうとはせず,「憂うつな性格」に誘われて森の奥深く入っていった。それ以来,「くる日もくる日も彼はただひとり,まる一日をそこですごし」「人間とのつきあいをいっさいやめてしまった」のである。しかも,ルネは自分の過去は一切口にしようとしなかったため,彼の養父とスーエル神父はこの青年に話させるまで数年を要したが,ようやく口を開いたルネが語る過去は概略,以下のようなものだった。
この地でルネは,先住民の風習に従って結婚したものの,妻と一緒に暮らそうとはせず,「憂うつな性格」に誘われて森の奥深く入っていった。それ以来,「くる日もくる日も彼はただひとり,まる一日をそこですごし」「人間とのつきあいをいっさいやめてしまった」のである。しかも,ルネは自分の過去は一切口にしようとしなかったため,彼の養父とスーエル神父はこの青年に話させるまで数年を要したが,ようやく口を開いたルネが語る過去は概略,以下のようなものだった。