消炎鎮痛解熱剤の多くは,その添付文書の「慎重投与」に「出血傾向のある患者〔血小板機能異常が起こることがあるため出血傾向を助長するおそれがある〕」とあるために血友病患者への投与を逡巡されることがある.本稿は統計学的データも乏しく,また他の血友病専門医からの異論・反論もあるかもしれない.しかし,ある血友病専門医の1つの考え方という程度に読んでいただければありがたく思う.
随分と以前になるが,ある血友病専門医が「血友病患者には出血を助長させる恐れがあるので非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-Inflammatory drugs;NSAIDs)は処方しない.外用薬も経皮吸収されるので処方しない.製薬企業にも問い合わせたが,ご遠慮いただきたいとの返事だった」と言っておられるのに違和感を持った.すべからく医療行為にはメリット・デメリットがあり,それを比較考量するのが医療者の役割である.血友病性関節症にNSAIDsを主成分とする貼り薬や内服薬を投与することによって,腫れや痛みの緩和に役立ったことは数多く,血友病治療の補助的役割として大きなメリットである.また,腫脹した関節に対して血液凝固因子製剤の投与を反復しても効果がなく,NSAIDsを利用後に改善を認めて,結果的に非出血性の関節炎症だったのだとわかることもしばしば経験する.当然のことながら血友病患者も感冒による発熱や咽頭痛を経験する.それらの症状改善のためのNSAIDsの役割は否定されなければいけないのか.
随分と以前になるが,ある血友病専門医が「血友病患者には出血を助長させる恐れがあるので非ステロイド性抗炎症薬(non-steroidal anti-Inflammatory drugs;NSAIDs)は処方しない.外用薬も経皮吸収されるので処方しない.製薬企業にも問い合わせたが,ご遠慮いただきたいとの返事だった」と言っておられるのに違和感を持った.すべからく医療行為にはメリット・デメリットがあり,それを比較考量するのが医療者の役割である.血友病性関節症にNSAIDsを主成分とする貼り薬や内服薬を投与することによって,腫れや痛みの緩和に役立ったことは数多く,血友病治療の補助的役割として大きなメリットである.また,腫脹した関節に対して血液凝固因子製剤の投与を反復しても効果がなく,NSAIDsを利用後に改善を認めて,結果的に非出血性の関節炎症だったのだとわかることもしばしば経験する.当然のことながら血友病患者も感冒による発熱や咽頭痛を経験する.それらの症状改善のためのNSAIDsの役割は否定されなければいけないのか.