心房細動(AF)は,QOLの低下のみならず心不全リスク,脳卒中リスク,死亡リスクとそれぞれ関連している。高齢化に伴いAF患者は増加していることから,心原性脳塞栓症の患者数も必然的に多くなることが予想される。心原性脳塞栓症は,アテローム血栓性脳梗塞に比べて梗塞巣が広く,重篤化しやすく死亡率や介護度も高くなる。したがって,AF患者の治療に際しては抗凝固療法による脳梗塞予防が最も重要で,その適応の有無を評価することが推奨される。一方,脳卒中のリスクが高く長期的に抗凝固療法が推奨される患者のうち,出血リスクの高い患者への対応に苦慮することも少なくない。このような患者に対する長期的抗凝固療法の代替として,WATCHMAN™左心耳閉鎖デバイス(LAAC)が2019年9月に日本でも保険適用となった。LAACはすでに国内で多くの症例に適用されてはいるが,解決すべき課題は残されている。本稿では,左心耳閉鎖術の現状と展望について概説し,ブレインハートチームに期待される点を整理したい。
「KEY WORDS」心房細動,左心耳閉鎖術,抗凝固療法,心原性脳塞栓症,ブレインハートチーム