心房細動を伴う虚血性心疾患における抗凝固療法は,その出血リスクと血栓形成リスクの両面を慎重に考慮する必要があり,これまで多くの臨床医を悩ませてきた。虚血性心疾患の診療において抗血小板療法はなくてはならない標準治療となっているが,抗凝固薬と組み合わせた抗血小板薬の使用はデンマークのコホート研究で示されているように出血イベントのリスクを有意に高めるとされている1)。以前より日本人は欧米人と比較して出血リスクが高く,一方で塞栓症リスクは低いといわれており,わが国においては特にステント血栓症と出血のリスクを的確に予測することが求められてきた。実際に,最適な抗凝固療法と抗血小板療法の組み合わせを見出すべく数多くの臨床研究が行われてきた。近年になってようやくその努力が結実し,安全でかつ有効性の期待できる抗凝固療法と抗血小板療法のレジメンが提唱されるようになった。本稿では,その背景となる根拠とともに,最新のガイドラインに基づいて虚血性心疾患における抗凝固療法について概説する。
抗凝固療法complication
循環器領域における抗凝固療法の現状
掲載誌
Cardio-Coagulation
Vol.9 No.2 41-45,
2022
著者名
進藤 智彦
/
安田 聡
記事体裁
抄録
/
連載
疾患領域
循環器
診療科目
循環器内科
媒体
Cardio-Coagulation
※記事の内容は雑誌掲載時のものです。