心房細動を原因とする心原性脳塞栓症や全身性塞栓症の予防には抗凝固薬の有効性が高く,従来のビタミンK拮抗薬であるワルファリンに加えて2011年以降に新たな作用機序を有する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が臨床使用できるようになった。2011年に販売開始された直接トロンビン阻害薬であるダビガトランに引き続き,2012年にリバーロキサバン,2013年にアピキサバン,2014年にエドキサバンと3つの凝固第Ⅹa因子(FⅩa)阻害薬が次々に登場し,現在わが国では4種類のDOACが使用可能となって,急速に診療の現場に浸透してきている。今やワルファリンを継続している心房細動患者は少数派となり,大多数の患者はDOACを服用し,この10年で抗凝固薬は完全に世代交代を遂げた。盤石の地位を築いたかにみえるDOACであるが,その座を脅かす新顔の姿が徐々に明らかになりつつある。