アストラゼネカ社のChAdOx1 nCoV-19ワクチン接種後に血小板減少を伴う血栓症を引き起こすリスクが高まることが,2021年4月以降に相次いで報告されるようになった。頻度は10万人あたり1人程度で比較的稀な副反応ではあるが,脳静脈洞など通常の静脈血栓症好発部位とは異なる部位に血栓症を引き起こし,死亡リスクが高い。わが国でも2021年8月3日以降,原則40歳以上の方を対象にChAdOx1 nCoV-19ワクチンを接種することが可能となったが,血小板減少症を伴う血栓症に対処すべく,日本脳卒中学会と日本血栓止血学会の2学会合同の診断と治療の手引きが公開されている1)。
本稿では,手引きの重要なポイントをピックアップして解説する。