新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するアデノウイルスベクターワクチンの副反応として血小板減少症を伴う血栓症(TTS)が報告されるようになり,欧州医薬品庁は「非常に稀な副反応」と結論づけている。TTSの特徴は,①ワクチン接種後4~28日に発症する(ワクチン接種日を0日とする),②血栓症(脳静脈血栓症,内臓静脈血栓症など通常とは異なる部位)を生じる,③血小板が減少する(中等度~重度),④凝固線溶系マーカーが異常である(D-dimer著増など),⑤抗血小板第4因子抗体(ELISA法)が陽性となる,が挙げられる。ヘパリン起因性血小板減少症と類似した病態といわれている。血小板減少症を伴う血栓症に遭遇した場合はワクチン接種歴を確認し,TTSを疑って他疾患を除外しつつ速やかに治療することが必要である。なお,本病態は新しい概念であり,エビデンスは確立していない。