新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は血栓症を高頻度で合併することが報告されており,特に肺血栓塞栓症を中心とした静脈血栓塞栓症(VTE)に注目が集まっている。COVID-19患者におけるVTE発症の予防および予後改善を目的とした抗凝固療法の意義を検討する介入試験が世界中で開始され,2021年以降その結果が続々と報告されつつあり,それらの結果はわが国でも参考となるものと考えられる。しかしながら,これまでにわが国で実施された調査ではCOVID-19の重症例では相応にVTEが発症している模様であったが,VTEと診断された症例の割合は海外からの報告と比較すると低率である可能性も示唆された。COVID-19に併発するVTEに関しては,わが国では海外と実態がやや異なる可能性もあり,日本独自のデータに基づいて議論を進めることも重要であると考えられる。また,本テーマに関する研究報告は日々更新されており,最新の情報を逐次アップデートすることも重要であると考えられる。