BNP,NT-proBNPは,その簡易性と利便性から実際の臨床現場で心不全の診断,管理を行う際に最もよく用いられているバイオマーカーである。さらに,これらのバイオマーカーは心不全患者の予後予測因子や治療指標としても用いられている。一方,BNP,NT-proBNPは腎機能をはじめとしたさまざまな要因に影響されることが知られており,実際の数値の解釈にも注意を要する。なお,BNPとNT-proBNPを同時に測定することは保険診療では認められていないため,そのどちらか一方で診断することが一般的である。
本稿では,BNPとNT-proBNPの特性や測定条件の違い,臨床現場における測定の意義,さらにはそれぞれの値を解釈するうえでの注意点について述べる。