2020年11月に,サンクスギビングに始まる多くの人が集うホリデーシーズンが到来し,1,000万人以上が居住するロサンゼルスでは猛烈なCOVID-19感染拡大を経験した。最終的に1日あたり2万人以上の新規患者発生が日常となり,市民の65人に1人がCOVID-19に感染している状態にまで陥った。そのようななか,脳卒中センターは24時間診療体制を維持するため,早期のワクチン接種を含めた各スタッフの防疫体制拡充に努めた。しかし,スタッフの誰一人感染せずとも,その家族や同居人の感染による検疫のための出勤停止が相次ぎ,一時は診療体制の維持が困難となった。感染者の拡大が一定数に達した場合,個人防疫と同時に世帯単位での防疫体制を確立することが医療崩壊の危険を軽減する。必要最小限の人員で脳卒中医療を守り続けるうえで,スタッフの疲労軽減と防疫拡充は重要な課題となる。
COVID-19による血栓症の病態は多様であり,脳静脈洞血栓症などの疾患では治療が長時間となる。感染拡大前に脳血管内治療室専用のPAPRが確保できていたことは,数多くのCOVID-19患者を扱ううえで大きな助力となった。感染拡大前に確固たる防疫計画を立て,たとえ取り越し苦労となっても最悪の事態に備えておくことが肝要である。