ポリファーマシーは,単に服用する薬剤数が多いこと(多剤服用)ではなく,それに関連して薬物有害事象のリスク増加,服薬過誤,服薬アドヒアランス低下などの問題につながる状態である。したがって,高齢者総合機能評価(CGA)などを用いて患者の病態,生活,環境などから包括的に適正処方を判断し,多職種で対策を講じることが求められる。高齢者の薬物有害事象の二大要因は,薬物動態の加齢変化と多剤服用である。薬物動態上の対応は少量で開始する原則と長期処方中の投与量見直しであり,多剤服用に対しては「特に慎重な投与を要する薬物のリスト」も参照しつつ,優先順位を考慮した処方薬の絞り込みを心がける。また,高齢者では認知機能や視力,聴力の低下などコミュニケーション能力の低下を認める場合も多く,個々の患者の服薬管理能力を把握し,アドヒアランスを維持するための手法を実践することが重要である。
「KEY WORDS」薬物有害事象,高齢者総合機能評価(CGA),多職種協働,服薬管理,アドヒアランス
「KEY WORDS」薬物有害事象,高齢者総合機能評価(CGA),多職種協働,服薬管理,アドヒアランス