―まずは現在の小児急性中耳炎の起炎菌,薬剤耐性の状況を教えてください.

本ガイドラインが2006年に発刊された背景には,わが国において小児急性中耳炎の起炎菌が急速に薬剤耐性化し,難治化への対策が急務となった経緯があります.2024年版では,第6回耳鼻咽喉科領域感染症臨床分離菌全国サーベイランス(以下,サーベイランス)2)の結果を記載していますが,小児急性中耳炎症例からの分離菌においては,肺炎球菌(10.1%),インフルエンザ菌(38%),モラクセラ・カタラーリス(3.2%)の3菌種が過半数を占めています.注目すべきは,第5回(2012年)と比べ,インフルエンザ菌の検出率が26.7%から38%に増加した一方,肺炎球菌は29.2%から10.1%と,約1/3にまで減少した点です(図1).