―近年,医療用医薬品の供給不足に関する話題が目立ちます.

医薬品は国民の健康と生命を守る重要な物資であり,医薬品の供給が途絶えてしまうと,国民の生活に重大な影響を及ぼしかねません.

わが国ではこれまで,品質の確保された医薬品が安定的に供給されてきました.臨床の現場では医薬品の供給が滞ることは想定されておらず,患者さんも,ひとたび医師が処方すれば何ら問題なく服用できるものと捉えていたと思います.

しかしながら,厚生労働省の『医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会報告書』[令和5年(2023年)6月9日]1)では,「日本において医薬品は安定的に供給されるという『神話』は,崩壊の危機に瀕している」と指摘されています.