ウイルスは,自己の遺伝子を保存するために広がりやすい方向に進化するとともに,宿主の免疫から逃れる方向に進化する.RNAウイルスはとくに変異を起こしやすく,quasispecies(多種性)と呼ばれる変異したウイルス集団を形成し,その後ウイルスにとって有利な変異株がさまざまな要因によって選択されてゆく.
突然変異はゲノムRNAのどの部位にも起こり,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はゲノムRNAの塩基を約2週間で1カ所の頻度で変化させている.したがって,すべてのSARS-CoV-2が変異株であると言えるが,細胞に侵入するのに重要なスパイク蛋白質(spike protein:SP)の遺伝子に変異が集積し,感染力や免疫回避作用が高まった株をいわゆる変異株(variant)と呼んでいる.本稿では,わが国における変異株を中心に,その動向について述べる.
突然変異はゲノムRNAのどの部位にも起こり,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)はゲノムRNAの塩基を約2週間で1カ所の頻度で変化させている.したがって,すべてのSARS-CoV-2が変異株であると言えるが,細胞に侵入するのに重要なスパイク蛋白質(spike protein:SP)の遺伝子に変異が集積し,感染力や免疫回避作用が高まった株をいわゆる変異株(variant)と呼んでいる.本稿では,わが国における変異株を中心に,その動向について述べる.