―まず,2019年のCOVID-19流行発生以降における小児診療の現状を教えて下さい.
COVID-19は,2019年12月に武漢で原因不明の肺炎が報告されて以降,2020年1月には頻繁にマスコミ報道されるようになり,2月に入るといよいよダイヤモンド・プリンセス号の乗客で感染確認され,連日大騒動となったのは記憶に新しいところです.
新型のウイルスということで情報が錯綜する中,徐々に新しいことがわかってきたのは良かったのですが,一方で患者さんに大きな恐怖心をもたらす事態となりました.さらに政府が不要不急の外出自粛を呼びかけてからは,これは小児医療に限ったことではありませんが,患者さんがいっきに受診を控えるようになったのも事実です.
それに伴い,予防接種の接種率にも変化が生じています.1歳までの乳児における接種率に大きな変化は認められませんが,1歳を超えた接種率は20%程度,減少しました1)
1歳未満の乳児は生まれてからすぐに健診を受け,同時に予防接種を済ませますが,1歳以降は接種する期間に幅があります.そのため,保護者の中では「できればちょっと先に延ばそう」という意識が働いたのではないでしょうか.いまだ接種控えの状況に変化はなく,その動向は注視していくべきと考えています.