2019年12月,中国の湖北省武漢市で肺炎のアウトブレイクが発生した.2019年12月1日~2020年1月2日までに41名の患者がみつかり,うち27名の患者で武漢市の海鮮市場との疫学的関連が指摘された1).まもなく,新種のコロナウイルスが本疾患の患者から発見された2-4).日本では,1月15日に武漢市に滞在歴のある肺炎患者が本疾患の患者であることが確認された.本感染症の流行は,短期間のうちに世界中へ拡大し,2020年3月11日,世界保健機関は,パンデミック(世界的大流行)発生の声明を出した(その時点での患者報告数は約11万8千人,死亡者数は4,292人,影響を受けた国または地域は113カ国であった).その後,世界各国や都市で渡航制限や都市閉鎖などの厳しい対策がとられた.しかし,感染の拡大は止まらず,2020年10月25日現在,世界中のほぼすべての国と地域で感染が確認され,世界全体での患者報告数は約4,300万人,死亡者数は約116万人となっている.