先天性サイトメガロウイルス(cytomegalovirus:CMV)感染の診断は,生後3週間以内の新生児の尿でのCMV核酸検出法(ポリメラーゼ連鎖反応 [PCR] 法,等温核酸増幅法など)によって行う.生後3週間を超えると先天性感染と後天性感染の区別が困難となるためである.血清中CMV IgM抗体やCMV抗原血症(C7-HRPなど)検査は先天性CMV感染児であっても約半数で陰性となることから1),検査診断としての信頼性は下がる.
2018年1月より,生後3週間以内の新生児尿を用いたCMV核酸検査として,「サイトメガロウイルス核酸検出」が保険適用となっている.この検査は,先天性CMV感染の診断を目的に尿を検体として,等温核酸増幅法により測定した場合に1回に限り算定できる(保険点数850点).この保険診療は,先天性CMV感染のリスクを有する生後3週以内の新生児を対象に確定診断を目的とした定性試験であり(表1),スクリーニング検査としては使用できない.その体外診断用医薬品として,「ジェネリス CMV」(株式会社シノテスト)が市販されている.株式会社SRL,株式会社LSIメディエンス,株式会社BMLで受託検査も行われている2)
生後3週間を過ぎて先天性感染の診断を行う場合は,尿からのCMV核酸検出だけでは先天性か後天性かの判断がつかないため,保存されている乾燥臍帯や出生時に採取された乾燥ろ紙血を用いたCMVPCR検査等により行う(ただし,標準化された乾燥臍帯やろ紙血を用いたCMV PCR検査は確立しておらず,保険適用もない).